こんにちは。日本マイクロソフト Exchange & Outlook サポート チームです。昨今、大変ありがたいことに Microsoft 365 をご利用頂くお客様も大変多くなってまいりました！
本日は少々今更に思われるかもしれませんが、AADC で同期している環境において、Microsoft 365 上、つまり Exchange Online (ExO) 上のオブジェクトを、オンプレミス Exchange サーバーの管理ツールを使用して管理できるようにするための手順について、ご案内致します。
事前準備
まず Exchange Server インストール対象のサーバーにおいて下記のシステム要件の確認、および前提条件となる準備を実施します。
続いて、下記手順で Exchange 管理ツールを導入するために Exchange Server のインストールの準備を行い、メール ユーザーまたはリモート メールボックスの有効化を実施します。
1. スキーマ拡張の実施
Exchange Server のインストールの前に、Exchange 属性の追加のためスキーマ拡張を実施します。詳細な手順については下記公開情報をご参照ください。
2. Exchange Server のインストール
下記公開情報内の手順に沿って、セットアップウィザードを用いて Exchange Server のメールボックス サーバーのインストールを実施します。ここでポイントとなるのは、管理ツールのみインストールするといったことはできない、という点ですね。
3. リモート メールボックスまたはメール ユーザーの有効化
下記の通り、Enable-RemoteMailbox コマンドまたは Enable-MailUser コマンドを実施します。これにより、そのユーザー アカウントはリモート (ExO) にメールボックスを保持していながら、オンプレミス Exchange サーバー上でメールが有効なオブジェクトとして管理できるようになります。
Exchange Online 側にメールボックスを作成する場合
1 | Enable-RemoteMailbox -Identity <対象ユーザー名> -RemoteRoutingAddress <ExO でプライマリ アドレスとして使用する SMTP アドレス> |
実行例:
1 | Enable-RemoteMailbox -Identity User001 -RemoteRoutingAddress User001@contoso.com |
Exchange Online 側にメールボックスを作成しない場合
1 | Enable-MailUser -Identity <対象ユーザー名> -ExternalEmailAddress <ExO でプライマリ アドレスとして使用する SMTP アドレス> |
実行例:
1 | Enable-MailUser -Identity User001 -ExternalEmailAddress User001@contoso.com |
4. リモート メールボックスまたはメール ユーザーの編集
念のため、上記コマンドを実行した後は、不足しているパラメータがないかを以下のコマンドで確認し、不足分があれば手動で (Set-RemoteMailbox / Set-MailUser コマンドにて) 追加するようにしましょう。
1 | Get-RemoteMailbox -Identity <対象ユーザー名> |
例えばセカンダリ アドレスを追加したい場合は、以下のような形です。
リモート メールボックスにセカンダリ SMTP アドレスを追加する場合
1 | Set-RemoteMailbox -Identity <対象ユーザー名> -EmailAddresses @{add="追加する SMTP アドレス"} |
実行例:
1 | Set-RemoteMailbox -Identity user001 -EmailAddresses @{add="User001_Modified@contoso.com"} |
メール ユーザーにセカンダリ SMTP アドレスを追加する場合
1 | Set-MailUser -Identity <対象ユーザー名> -EmailAddresses @{add="追加する SMTP アドレス"} |
実行例:
1 | Set-MailUser -Identity User001 -EmailAddresses @{add="User001_Modified@contoso.com"} |