※ この記事は、Limiting Onmicrosoft Domain Usage for Sending Emails の抄訳です。最新の情報はリンク先をご確認ください。
メール用 MOERA ドメイン
Microsoft 365 で新しいテナントを作成すると、onmicrosoft.com (または onmicrosoft.de などのようなデフォルト ドメイン) が自動的に提供されます。これらの MOERA (Microsoft Online Email Routing Address) ドメインにより、すぐに接続やユーザー作成が可能となります。新しいテナントの迅速な開始やテストには有効ですが、今後のブランド認知や管理性の向上のためには、独自のカスタム ドメインを追加することが推奨されます。MOERA ドメインを「プライマリ ドメイン」として使い続けると、重大な課題に直面する可能性があります。
無料の「onmicrosoft」共有ドメインの制限事項
これらの「デフォルト」ドメインはメール フローのテストには便利ですが、通常のメッセージ送信には適していません。お客様のブランド アイデンティティを反映できず、管理面でも制約があります。さらに、これらのドメインはすべて「onmicrosoft」ドメイン (例: ‘contoso.onmicrosoft.com’) を共有しているため、レピュテーションも全体で影響を受けます。Microsoft では悪用を最小限に抑える努力をしているものの、スパム送信者は新規テナントを利用して「.onmicrosoft.com」アドレスから大量のスパムを送信することがあり、対応が間に合わない場合があります。その結果、この共有ドメインのレピュテーションが低下し、正当なユーザーのメール配信にも悪影響を及ぼす可能性があります。ブランドの信頼性とメールの到達率を確保するため、組織は独自のカスタム ドメインを作成し、メール送信に使用することが推奨されます。これまでは、MOERA ドメインによるメール配信の利用制限はありませんでした。
新しいスロットリング強制の導入
悪用防止とメールの配信性向上のため、今後ポリシー変更を行います。MOERA ドメインは今後、テスト用途のみで使用し、通常のメール送信には使用されるべきではありません。onmicrosoft.com ドメインから外部宛てに送信できるメッセージ数は、組織単位で 24 時間のローリング ウィンドウにおいて 100 件に制限されます。受信メールには影響しません。外部受信者数は、元の受信者が展開された後の合計でカウントされます。送信者がスロットリングの上限に達した場合、テナントがスロットリング状態にある間、外部宛ての送信試行には NDR (550 5.7.236) が返されます。
管理者が取るべき対応
MOERA ドメインの利用状況に応じて、以下の対応を行う必要があります。
- まだカスタム ドメインを導入していない場合は、購入のうえ、移行を行ってください。
- テスト用途以外のメール送信には、必ずカスタム ドメインのみを使用してください。
- テナントの既定のドメインが MOERA ドメインの場合は、Microsoft 365 管理センターで既定のドメインをカスタム ドメインに変更してください。
- 各メールボックスのプライマリ SMTP アドレスをカスタム ドメインのエイリアスに変更する必要があります。プライマリ SMTP アドレスの変更は、アカウントのログイン時に使用するユーザー名にも影響するため、デバイスやアプリケーションでユーザー アカウント認証に使用している資格情報の更新が必要になる場合があります。
注意: フェデレーション ドメインを利用している場合は、Microsoft 365 に非フェデレーションのカスタム ドメインを追加して既定ドメインとして設定する必要があります。フェデレーション ドメインは既定のドメインとして設定することができません。詳細はこちら: AD FS の概要.
ドメインの購入
ドメイン レジストラは、ドメイン名の販売と管理を認可された企業です。ドメインを購入するには、通常、レジストラのウェブ サイトで希望するドメイン名を検索し、購入手続きを経て自分の名義で登録します。購入後は、レジストラの管理画面から DNS 設定を管理し、Exchange Online に承認済みドメインとして追加する際の所有権確認を行います。購入後、以下の手順でテナントに承認済みドメインとして追加できます - ドキュメント。
既存メールボックスへの新しいエイリアス追加
ユーザーを新しいカスタム ドメインに移行するには、管理者が各ユーザー アカウントに新しいカスタム ドメインのエイリアスを追加する必要があります。これらの新しいエイリアスは、メールボックスのプライマリ SMTP アドレスとして設定する必要があり、メール送信時に使用されます。MOERA エイリアス宛てのメールに返信する際には、送信に使用するエイリアスが正しく選択されていることを確認してください。
既知の MOERA ドメイン利用シナリオ
MOERA ドメインがプライマリ SMTP アドレスである場合に通常のメール クライアントがメール送信で利用する以外にも、注意すべき既知の利用シナリオは以下のようなものがあります:
- Sender Rewriting Scheme (SRS) は、デフォルト ドメインとして設定されている場合、MOERA ドメインをフォールバックとして使用することがあります。これを回避するには、既定のドメインを変更する必要があります。(Microsoft 365 の Sender Rewriting Scheme (SRS))
- Bookings アプリの招待メールは、MOERA ドメインから送信されるように設定されている場合があります。Bookings がカスタム ドメインを使用するように設定されていることを確認してください。(Shared Bookings のカスタム ドメイン サポート)
- Microsoft からの通知メールは、必ずカスタム ドメインを使用するように設定してください。(Microsoft 365 製品からのメール送信に使用するドメインの選択)
- ジャーナル レポートは、テナントに設定された Microsoft Exchange Recipient アドレス (Get-OrganizationConfig の MicrosoftExchangeRecipientPrimarySmtpAddress) を使用します。このアドレスは管理者が変更できないため、これらのメッセージはスロットリングの制限にはカウントされません。
- 複雑なルーティングを伴うハイブリッド構成では、mail.onmicrosoft.com を含む MOERA ドメインが使用されることがあります。これらのドメインを使用したアドレスが外部受信者にメールを送信する(例: エイリアスから送信された OOF メッセージ)場合がありますが、元のトラフィックでこれらのドメインが使用されていない限り、これらのメッセージはスロットリングの対象にはなりません。
MOERA メール トラフィックの分析
Exchange 管理センターのメッセージ トレース機能を使用して、テナントから送信される組織外へのトラフィックを取得できます。送信者欄にワイルド カード アドレスを指定することで、onmicrosoft.com ドメインを使用して送信されたすべてのトラフィックを含むレポートを取得できます。このレポートには内部的に送信されたメッセージも含まれますが、受信者ドメインを指定することで、レポートから内部送信メッセージをフィルタリングすることができます。
ロールアウト タイムライン
スロットリングのロールアウトは、組織内の Exchange シートの数に基づいて行われます。
MOERA の送信メールスロットリング開始日 | テナント内の Exchange シート数 |
---|---|
2025年10月15日 | トライアル |
2025年12月1日 | 3未満 |
2026年1月7日 | 3~10 |
2026年2月2日 | 11~50 |
2026年3月2日 | 51~200 |
2026年4月1日 | 201~2,000 |
2026年5月4日 | 2,001~10,000 |
2026年6月1日 | 10,001以上 |
各ロールアウト段階のアナウンスは、対象のシート数条件を満たすすべてのお客様に対し、開始日の 1 か月前にメッセージ センターを通じて通知されます。MOERA ドメインを利用しているすべてのお客様は、早めに計画を立て、移行を開始することが推奨されます。